LaTeXのすすめ
レポートや論文で数式を書くとき、未だにWordの数式ツールでカチカチとマウスをクリックしていませんか? あるいは、レイアウトが勝手に崩れて叫びそうになっていませんか?そんなあなたにオススメしたいのが「LaTeX(ラテフ)」です!
- 数式が圧倒的に美しい: 世界中の数学者や物理学者が愛用するレベルの超高クオリティな数式が印字できます。
- キーボードだけで完結: マウスを一切使わず、コードを打つだけで複雑な数式がサクサク作成可能です。
- レイアウトが絶対に崩れない: 画像や表の位置が勝手にズレてイライラする「Wordあるある」から完全に解放されます。
例えば、有名な「オイラーの等式」も、コードで
$$e^{i\pi} + 1 = 0$$
と書くだけで、以下のように極めて美しく出力されます。
さらに、高校数学で習う「二次方程式の解の公式」のような、分数とルートが絡み合う複雑な数式もこの通りです。
「LaTeXって導入が難しそう……」と思った方も安心してください。昔はギガ単位のファイルをダウンロードして黒い画面で設定が必要でしたが、現代は一瞬でスタートできる環境が整っています。
ブラウザを開くだけで今すぐLaTeXを書けるサービスです。パソコンのスペックも不問で、スマホやタブレットからでも執筆可能です。
- Cloud LaTeX:国内企業が運営。最初から日本語の環境が備わっています。(PDFLaTeX等一部レンダリングエンジンを除く)
- Overleaf:世界標準のサービス。海外の共同研究者とリアルタイムで同時に文書を編集したい場合に最強です。
オフラインでも書きたい方は、以下の組み合わせが2026年現在のトレンドです。
- TeX Live(最新版):LaTeXの本体セット(とりあえず全部入りでOK)。
- VS Code + 「LaTeX Workshop」拡張機能:コードを書く感覚でLaTeXが書け、ファイルを保存した瞬間に右側でPDFが自動更新される快適環境が作れます。
LaTeXは、テキストファイルに「ここから本文」「ここからタイトル」という指示(コマンド)を書き込んでいきます。レポートを作成する際の最低限のテンプレートがこちらです。
\documentclass[jlreq]{report} % 日本語の標準的な設定
\usepackage{amsmath,amssymb} % 数式を豊かにする必須パッケージ
\title{LaTeXによる実験レポート}
\author{らてふ るか}
\date{\today} % 自動で今日の日付になります
\begin{document}
\maketitle % タイトルを綺麗に生成
\section{はじめに}
ここに本文を書きます。
改行したいときは、文章の途中でリターンキーを2回押し、
「空行」を1行作ると自動で段落が変わります。
\section{実験結果}
数式は文章中に $E=mc^2$ と書くこともできますし、
以下のように独立させて大きく書くこともできます。
$$ \sum_{k=1}^{n} k = \frac{1}{2}n(n+1) $$
\end{document}
だいたいはこれで事足ります。
| 書きたい数式 | LaTeXコード | 出力結果 |
|---|---|---|
| 分数 | \frac{a}{b} |
$$\frac{a}{b}$$ |
| 累乗・上付き | x^{n+1} |
$$x^{n+1}$$ |
| 添え字・下付き | a_{n} |
$$a_{n}$$ |
| ルート(平方根) | \sqrt{x} |
$$\sqrt{x}$$ |
| ギリシャ文字 | \alpha, \beta, \theta |
$$\alpha, \beta, \theta$$ |
| 積分(インテグラル) | \int_{a}^{b} f(x) dx |
$$\int_{a}^{b} f(x) dx$$ |
| 総和(シグマ) | \sum_{i=1}^{n} i |
$$\sum_{i=1}^{n} i$$ |
| 行列 | \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} |
$$\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}$$ |
ただ数式を書くだけでなく、以下の3つのテクニックを知っておくと綺麗に作ることができます。
計算過程を複数行にわたって書くとき、Wordだとスペースを連打してズレがちですが、LaTeXなら
aligned 環境を使い、揃えたい位置に
& を置くだけです。
$$
\begin{aligned}
(x + 3)(x + 5) &= x^2 + 3x + 5x + 15 \\
&= x^2 + 8x + 15
\end{aligned}
$$
分数などを普通のカッコ
( ) で囲むと、カッコが小さすぎて格好悪くなります。前に
\left( と
\right)
をつけるだけで、中身の高さに合わせて自動調整されます。
自動調整後: $$ \left( \frac{1}{2} \right) $$ いい感じに!
数式モードの中でそのまま日本語を書くと、フォントが崩れたり空白が消えたりします。そんな時は
\text{} コマンドで囲みましょう。
$$ f(x) = 0 \quad (\text{ただし } x > 0) $$
長大なレポートを書くときこそLaTeXの本領が発揮されます。
「第3章の図2を参照」などと手動で書くと、途中に図を追加した際に全ての番号を修正する地獄が始まります。LaTeXなら図に
\label{fig:my_image} と名前をつけておけば、本文中で
図\ref{fig:my_image}
と書くだけで、自動的に正しい番号(例:図4)に変換してくれます。
論文の最後に書く参考文献のリストは、著者名や出版年の順序など細かいルールがあります。BibTeXという機能を使えば、文献のデータファイルを1つ作っておくだけで、本文中で引用された順番通りに完璧なフォーマットで自動生成してくれます。
最初はコマンドを覚えるのが少し大変に感じるかもしれませんが、一度テンプレートを作って慣れてしまえば、レポート作成のスピードはWordの3倍以上に跳ね上がります。 タイピングするだけで次々と美しい数式が印刷用のPDFになっていく快感、ぜひ皆さんも味わってみてください!
LaTeXの読み方は「ラテフ」ですが、国際的にはレイテックとも言うようです。