LaTeXのすすめ

Wordとは一線を画すドキュメント記述言語

レポートや論文で数式を書くとき、未だにWordの数式ツールでカチカチとマウスをクリックしていませんか? あるいは、レイアウトが勝手に崩れて叫びそうになっていませんか?そんなあなたにオススメしたいのが「LaTeX(ラテフ)」です!

■ LaTeXのメリット
■ 実際の数式サンプル

例えば、有名な「オイラーの等式」も、コードで $$e^{i\pi} + 1 = 0$$ と書くだけで、以下のように極めて美しく出力されます。

$$e^{i\pi} + 1 = 0$$

さらに、高校数学で習う「二次方程式の解の公式」のような、分数とルートが絡み合う複雑な数式もこの通りです。

$$x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}$$
■ 環境構築の最短ルート

「LaTeXって導入が難しそう……」と思った方も安心してください。昔はギガ単位のファイルをダウンロードして黒い画面で設定が必要でしたが、現代は一瞬でスタートできる環境が整っています。

選択肢A:クラウドサービスを使う(最速・設定ゼロ)

ブラウザを開くだけで今すぐLaTeXを書けるサービスです。パソコンのスペックも不問で、スマホやタブレットからでも執筆可能です。

選択肢B:ローカル環境を作る(本格派)

オフラインでも書きたい方は、以下の組み合わせが2026年現在のトレンドです。

■ これだけは覚える!基本の骨格

LaTeXは、テキストファイルに「ここから本文」「ここからタイトル」という指示(コマンド)を書き込んでいきます。レポートを作成する際の最低限のテンプレートがこちらです。

\documentclass[jlreq]{report} % 日本語の標準的な設定
\usepackage{amsmath,amssymb}  % 数式を豊かにする必須パッケージ

\title{LaTeXによる実験レポート}
\author{らてふ るか}
\date{\today} % 自動で今日の日付になります

\begin{document}

\maketitle % タイトルを綺麗に生成

\section{はじめに}
ここに本文を書きます。
改行したいときは、文章の途中でリターンキーを2回押し、
「空行」を1行作ると自動で段落が変わります。

\section{実験結果}
数式は文章中に $E=mc^2$ と書くこともできますし、
以下のように独立させて大きく書くこともできます。
$$ \sum_{k=1}^{n} k = \frac{1}{2}n(n+1) $$

\end{document}
■ 数式記述法集

だいたいはこれで事足ります。

書きたい数式 LaTeXコード 出力結果
分数 \frac{a}{b} $$\frac{a}{b}$$
累乗・上付き x^{n+1} $$x^{n+1}$$
添え字・下付き a_{n} $$a_{n}$$
ルート(平方根) \sqrt{x} $$\sqrt{x}$$
ギリシャ文字 \alpha, \beta, \theta $$\alpha, \beta, \theta$$
積分(インテグラル) \int_{a}^{b} f(x) dx $$\int_{a}^{b} f(x) dx$$
総和(シグマ) \sum_{i=1}^{n} i $$\sum_{i=1}^{n} i$$
行列 \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} $$\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}$$
■ 差がつく数式テクニック

ただ数式を書くだけでなく、以下の3つのテクニックを知っておくと綺麗に作ることができます。

1. イコールの位置で綺麗に揃える

計算過程を複数行にわたって書くとき、Wordだとスペースを連打してズレがちですが、LaTeXなら aligned 環境を使い、揃えたい位置に & を置くだけです。

$$
\begin{aligned}
(x + 3)(x + 5) &= x^2 + 3x + 5x + 15 \\
               &= x^2 + 8x + 15
\end{aligned}
$$
$$ \begin{aligned} (x + 3)(x + 5) &= x^2 + 3x + 5x + 15 \\ &= x^2 + 8x + 15 \end{aligned} $$
2. カッコの大きさを中身に自動で合わせる

分数などを普通のカッコ ( ) で囲むと、カッコが小さすぎて格好悪くなります。前に \left(\right) をつけるだけで、中身の高さに合わせて自動調整されます。

通常のカッコ: $$ (\frac{1}{2}) $$ 縦幅が足りなくて不格好
自動調整後: $$ \left( \frac{1}{2} \right) $$ いい感じに!
3. 数式の中に「日本語文」を綺麗に混ぜる

数式モードの中でそのまま日本語を書くと、フォントが崩れたり空白が消えたりします。そんな時は \text{} コマンドで囲みましょう。

$$ f(x) = 0 \quad (\text{ただし } x > 0) $$
$$ f(x) = 0 \quad (\text{ただし } x > 0) $$
■ Wordに戻れなくなる自動化機能

長大なレポートを書くときこそLaTeXの本領が発揮されます。

① 図表・数式番号の自動割り振り
「第3章の図2を参照」などと手動で書くと、途中に図を追加した際に全ての番号を修正する地獄が始まります。LaTeXなら図に \label{fig:my_image} と名前をつけておけば、本文中で 図\ref{fig:my_image} と書くだけで、自動的に正しい番号(例:図4)に変換してくれます。
② 参考文献の自動フォーマット(BibTeX)
論文の最後に書く参考文献のリストは、著者名や出版年の順序など細かいルールがあります。BibTeXという機能を使えば、文献のデータファイルを1つ作っておくだけで、本文中で引用された順番通りに完璧なフォーマットで自動生成してくれます。
■ まとめ

最初はコマンドを覚えるのが少し大変に感じるかもしれませんが、一度テンプレートを作って慣れてしまえば、レポート作成のスピードはWordの3倍以上に跳ね上がります。 タイピングするだけで次々と美しい数式が印刷用のPDFになっていく快感、ぜひ皆さんも味わってみてください!

補足

LaTeXの読み方は「ラテフ」ですが、国際的にはレイテックとも言うようです。